「健康寿命の延伸」対策は生活習慣の改善から
ー基本要素は睡眠、運動、食事ー
運動の効用:BDNFって何だろう?
健康寿命を延ばすには、生活習慣病の予防や改善をしましょう、
ということはもはや常識となりました。
タイトルに掲げたように、まず、睡眠、運動、食事の3つが基本的な要素と考えます。
前ブログで健康寿命が終わる原因として、
3大原因の
①「血管の病気」、つまりメタボリック症候群(メタボ)、
②運動機能や筋力の衰え、つまりロコモティブ症候群(ロコモ)、
そして
③脳あるいは心の衰え(認知症)
を揚げました。
運動がカロリーを消費することにより内臓脂肪を減らし、
①のメタボに有効であること、
また、
運動が運動機能や筋力増強に役立ち、
②のロコモに有効であることは容易に理解できますよね。
今回は運動が、
③の「脳あるいは心の衰え(認知症)」 にもまた有効であることに着目してみました。
それを説明する一つに、次のBDNFがあります。
運動するとBDNFが分泌されるのです!
運動が、脳あるいは心の衰えに有効である根拠の一つとして、
脳由来神経栄養因子
というものが脚光を浴びています。
英語では”Brain-Derived Neurotrophic Factor”といい、
このため頭文字を取って、”BDNF”と略されます。
主に脳や神経に作用しますが、それ以外の臓器にも存在しています。
分泌性タンパクと考えられていますが、
遠隔な細胞に作用するのではなく、
近傍や自己の細胞に作用します(言葉が難しくなりますが、それぞれ傍分泌、自己分泌と呼ばれます)。
その働きを簡単に説明すると、
- 神経の新生を促す(新しい神経を作る栄養となる)
- 神経の発達・増殖を促す
- 神経間ネットワークを強固にする(セロトニンなどの神経伝達物質を増やす、脳内物質の乱れを正常化する)
- 神経を保護する・神経細胞死の阻止(神経がストレスなどからダメージを受けるのを守る)
といった働きがあることが、分かってきています。
つまり
「BDNFは、脳の神経を成長させ、保護する物質、
で脳の不老長寿物質! 」
だと言えます。
アルツハイマー型認知症の方の脳では、BDNFが低下していることが報告されています。
特に脳の前頭前野や海馬でのBDNF低下が著しいことが分かっています。
また、アルツハイマー型認知症では ” アミロイドβタンパク ” という病的タンパクが、
脳内で増えます。
アミロイドβタンパクは、神経毒で脳細胞が死んで認知症がひどくなります。
アミロイドβタンパクが増えている状態でBDNFを入れると神経細胞が死なない、
との研究結果があります。
・・・つまり、認知症の人でもBDNFが分泌されると予防(進まない)できるのです。
うつ病では、海馬を中心とした辺縁系のBDNFが減少していると考えられており、
これによって気分の低下や記憶力の低下が生じていると考えられます。
このように現在では、BDNF低下は、認知症、うつ病を始め様々な精神疾患のリスクになることが分かってきています。
それで、健康寿命の終焉原因の③「脳あるいは心の衰え(認知症)」の対策として、BDNFを増やすことはできないか?
という命題が浮かびます。
実は、適度な運動は脳のBDNFを増やすことが明らかにされています。
最後まで、ブログお読みいただきありがとうございます。
今後もよろしくお願いいたします。
人生100年の時代となりました。
このプログは、超長寿化をどのようにして、
恩恵として享受したら良いかを模索しています。
そして、老いつつある日本を活性化することにお役に立てればと、
企画を試みています。
できるだけ分かりやすくお伝えし、
皆さんが、楽しく読んでいただけたら幸いです。