からの続きです。
① 「血管の病気」
たぶん大多数の方がすぐ思いつくのは、まず、心筋梗塞や脳卒中になってしまった時ではないでしょうか。
心筋梗塞は、心臓の筋肉を栄養している冠動脈という血管が詰まって起きる病気です。
脳卒中には脳梗塞と脳出血があり、
それぞれ、脳を栄養している血管が詰まったり、動脈瘤などができ破れて起きる病気です。
ともに「血管の病気」です。
特に自覚症状もなく元気な方に、突然、襲いかかることもあります。
自覚症状の出る前に、体内では徐々に血管が病んでいたのです。
医療技術が高くなり、救急医療の体制が整備されるにつれて、
これら致命的な「血管の病気」の救命率は高くなりました。
日本では、心筋梗塞、脳卒中の8~9割以上が、救急医療によって一命をとりとめています。
確かに命が助かることは、良いことです。
ですが、次には、後遺症の問題が残るのです。
心不全(心臓の働きが悪い状態)による運動制限、
脳卒中であれば、半身麻痺、言語障害や嚥下障害など、
生活の質(いわゆるQOL(Quality Of Life)と呼ばれています)を著しく下げ、
日常生活を送るのにも、介護や援助が必要になることが多々なのです。
また腎臓の病気も、「血管の病気」によってもたらされることが多いです。
腎臓そのものも、血管で成り立っているような臓器です。
慢性腎臓病も「血管の病気」と捉えてよいかと思います。
これら「血管の病気」の基となるリスク群に、
メタボリック症候群と言うものがあるのはご存知でしょう。
② 運動機能や筋力の衰え
将来の年金がどうなるか不安、長生き出来てもお金が続くか不安、
という心配をよく聞かれます。
そのため今から貯金をと考えるわけですね。
ですが、年を取るにしたがい、足らなくなるのはお金だけではありません。
運動機能や筋力についても言えるのです。
70歳台になると、運動機能や筋力はみるみる衰えてきて、
ちょっとしたことでよろけたり転んだりします。
筋肉は何もしなれば、年間1%減っていくと言われています。
30歳から減りだして、70歳になると40%減少して、60%しか残らないのです。
歩くのも一苦労となって、この状態が死ぬまで続くのです。
あるいは不運にも転んで、足の骨を折ったりすると、
これを契機に途端に寝たきりとなることも多いのです。
整形外科の先生は、
このような状態をロコモティブ症候群と呼んでいます。
③ 脳(心)の衰え
認知症とうつ病です。
認知症は、病型によっては「血管の病気」が関係することもあります。
2010年の推計では、65歳以上で15%に認知症が見られ、
80歳を超えると5人に1人が認知症と言われます。
生涯2人に1人が認知症に罹患するとの推計もあります。
糖尿病の患者さんが高齢になって向き合う最大の合併症
と言われています。
また、
老化に伴う身体機能の喪失感、経済的困窮、独居、孤独、不安、などから
うつ病が増えてきています。
④ 慢性閉塞性肺疾患(COPD)、喘息
COPDは喫煙が関与しています。
上記①~③と比べると、少数派かと思います。
が、きちんとケアをしないと、呼吸機能障害が加速され、
健康寿命の短縮につながります。
⑤ 悪性腫瘍(がん)
これは日本人の死因の1位として、約30%を占めています。
新薬の発明をはじめ医学の進歩により、
がんの種類によっては治ることも多くなりました。
あるいは、すぐに亡くなってしまうことも
少なくなりました。
生存率の延長は喜ばしいことです。
ですが、身体の障害を持って生きている期間が長くなる、
という側面があります。
以上、健康寿命が終わる時を整理してみました。
理想的な”健康寿命の延伸”とは!
「血管の病気」を極力予防して、
長生きし過ぎても困らないような運動機能・筋肉を鍛え保持し、
健全な心を保ち、
喫煙など悪しき習慣をやめ、
健康増進に努め、できれば癌も予防する。
そして、老衰で健やかに亡くなることを目指す。
これが理想的な ” 健康寿命の延伸 ” と考えます!
最後まで、ブログお読みいただきありがとうございます。
今後もよろしくお願いいたします。
人生100年の時代となりました。
このプログは、超長寿化をどのようにして、
恩恵として享受したら良いかを模索しています。
そして、老いつつある日本を活性化することにお役に立てればと、
企画を試みています。
できるだけ分かりやすくお伝えし、
皆さんが、楽しく読んでいただけたら幸いです。