運動の効用:t-PAが分泌され、血栓予防に! 1/2
さらに、運動の効用として、続きます。
少し難しくなりますが、ご容赦ください。
t-PA(tissue-Plasminogen Activator:組織プラスミノーゲン活性化因子)
についてお話します。
止血血栓と病的血栓
まず、t-PAを解説する前に、止血血栓と病的血栓の話をしたいと思います。
包丁で手を切ったなど、怪我をすると血が出ますね。
いわゆる出血です。
出血は、圧迫していると自然に止まります。
なぜでしょう?
それは、血小板(血液細胞の一種)と
血液凝固因子といわれるタンパク質の一連の反応が、
起きるからです。
血小板は、血管内皮の外の物質に触れると、
活性化と言って、
その物質に粘着し、お互いを凝集しあって、
集塊を形成する性質があります。
まず、血管が損傷すると、血小板は血管内皮の外の物質と接触します。
これにより、血小板が活性化され、血管の傷口に集まり粘着、凝集して傷口を塞ぎます。・・・(一次止血といいます。)
この傷口を塞いだ血小板の集塊は、血小板血栓と呼ばれます。
この血小板血栓は脆弱で、容易に壊れます。
この血小板血栓を強固にし、止血をしっかりとするために、
次に、血液凝固因子の一連の生化学反応が生じます。
最終的に強固になった血小板血栓を、最終凝固産物の名前を取り、フィブリン血栓と呼びます。・・・(二次止血といいます。)
このようにして、出血を止めるために生じた血栓を止血血栓といいます。
止血血栓は、言ってみれば、出血に対する身体の防衛反応で、良い血栓なのです。
それでは、
血液が血管の中で固まらないのは、どうしてでしょうか?
それは、前述してきたように、血管の内腔を覆っている血管内皮の働きのためです。
ところで、出血もないのに血管の中で、勝手に血栓ができてしまったら、
大変なことになりますよね。
これが、止血血栓に対して、病的血栓と呼ばれるものです。
ここで、たとえば、動脈硬化が起きたらどうなるでしょう?
動脈硬化で、血管壁は病み、血管内皮細胞に障害を生じると、
血液は血管内皮細胞以外の物質と接触することになります。
これが血液中の血小板を活性化させ、
障害を持った血管内皮表面へ、血小板の粘着・凝集をもたらします。
そして、これにより血液凝固反応が惹起され、
最終的に血液中の血栓物質のフィブリンの塊ができます。
血管の中で、血栓ができたら大変ですね。
血行が閉ざされてしまい、酸素や栄養分が運搬されなくなり、
その下流にある組織は死んでしまいます。
つまり、壊死してしまい、病名レベルでは、梗塞と言います。
たとえば、心臓の筋肉を養っている冠動脈が詰まり、壊死がおきれば、
心筋梗塞となるわけです。
さて、次回は、いよいよt-PAのお話です。
最後まで、ブログお読みいただきありがとうございます。
今後もよろしくお願いいたします。
人生100年の時代となりました。
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恩恵として享受したら良いかを模索しています。
そして、老いつつある日本を活性化することにお役に立てればと、
企画を試みています。
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